ハウスメーカーをはじめとする注文住宅会社は、キャンペーンと銘打ってお得に家を建てることができる宣伝をすることがよくあります。
内容を見ると大変お得そうに感じるハウスメーカーのキャンペーンですが、キャンペーンを利用して家を建てた人の中には、キャンペーンを利用したことで家づくりに失敗したと後悔している人も少なくありません。

そこでここでは、注文住宅の失敗で少なくない、「ハウスメーカーのキャンペーにつられて後悔」の失敗事例について考えてみましょう。
ではまいりましょう!
ハウスメーカーのキャンペーンにつられて後悔


ハウスメーカーは、購入意欲のあるお客さんを逃さないようにあの手この手で契約に結びつけようとしますから要注意です。

では、ハウスメーカーが打ち出すキャンペーンの注意点と失敗の回避方法を考えてみましょう。
3つのキャンペーンの注意点と失敗の回避方法
ハウスメーカーが打ち出すキャンペーンには、次の3つの代表的なキャンペーンがあります。

それでは、3つのキャンペーンについて詳しく解説しましょう。
展示場(モデルハウス)売却キャンペーンについて
チラシなどで、「【限定1棟】住宅展示場(モデルハウス)を680万円で譲ります」というような広告を見たことがある方も多いと思います。
680万円で新築(中古なのかな?)を購入できるならいい話だと思いますよね。
下の画像は、最近届いたハウスメーカーのキャンペーン広告です。
限定1棟で、販売価格が1,870万円ですが、延床面積が約90坪もある3階建ての鉄骨住宅ですから、新築で建てることを考えるとかなり低価格の設定になっています。


しかし、このキャンペーンには注意しなければならないことがいくつかあります。
それでは、解説しましょう。
当たる人はたった1人だけ
既に建っている展示場の売却ですから、その家が当たる人はたった1人だけです。
どのくらいの人が応募するのかわかりませんが、当たる確率はかなり低いと考えていいでしょう。
このようなキャンペーンを打つ注文住宅会社は応募者を募ることで、本気で家を建てようと考えている人(いわゆる見込み客)のリストを集めることを目的にしていることも覚えておきましょう。
広い土地が必要
モデルハウスですから、基本的に大きな家になります。
大きな家を建てるためには、当然ですが広い土地が必要になります。
商品によっては、家を小さくすることも可能ですが、その場合は別途修理工事費が必要になり、高いお金を払わなくてはなりません。
間取りは変えられない
売却される展示場の間取りが、理想としている間取りと合致する場合はいいのですが、そうでない場合は暮らしてみて後悔することになりかねません。
間取りは、土地の形や方位、道路の位置、駐車スペースの位置、隣の家との位置関係などによって変化するものです。
土地の条件に合わない家を無理やり組み立てたとして、暮らしやすいかどうかは疑問です。
そもそも処分される家の再利用
売却されるモデルハウスは、展示物として役目を終えた本来ならば解体されて処分される運命のはず・・・
また、展示場として使われてから何年(5年以上10年未満程度)かは経過している建物なので、中古物件と言っても間違いはないと思います。
家は10年ごとを目安に何らかのメンテナンスが必要になります。
そして、築年数が経過するほどにメンテナンス費用も増えていくのが普通です。
展示場売却物件であってもメンテナンスは必要なので、建築引き渡し後のメンテナンス費用は、はじめてのメンテナンスのときには、すでに2回目のメンテナンス費用が想定されることになります。
例えば、10年間使用された展示場を購入した場合、展示場を再築する時点では、ある程度のメンテナンスも行われると仮定すると、入居して10年後のメンテナンスは新築2回目となるので、20年目のメンテナンス費用が必要になりますね。
展示場は、人が実際に暮らしていないので、同じ築年数の家よりも品質は良いのかもしれませんが、展示場で事務所として使われていたり、不特定多数の人が訪れていることは覚えておいた方がいいでしょう。
再建築工事が完了して、新築気分で家に入ったら、展示場として見学していたときには気が付かなかったキズや汚れが目について新築の夢気分が消えてしまったという人もいるからです。
本体工事費以外の費用やプラン変更の費用を含むと高くなる?
展示場売却についてネットで調べてみると、次のような書き込みを目にしました。
友達が●●のモデルハウスを
安く買い取れますよっていうのに応募したらしいのですが、
確か780万くらいでうたっているのに、
色々すると(土地に合わせて小さく作り替える&下水工事&外構工事等など)、
2000万になると言われたそうです。
確かに広告には諸費用別途かかりますと書いてありますが。
この金額には土地代は含まれてません。
私も申し込もうか悩んでましたが、金額聞いて止めました。
(一部抜粋)
この書き込みで私が気になったのは、家が小さくなってしまうのに修理工事費用によって高い家になってしまうことです。
ちなみに、上の写真にあるハウスメーカーのキャンペーンの場合、敷地の大きさに合わせて縮小・変更が可能となっています。

改造によって、3階建てを2階建てにして、全体の延床面積も約90坪から40坪に縮小されています。
小さくなったにも関わらず、価格は80万円アップになっています。

1,950万円も出すならば、展示場として使用されていた中古物件よりも、新築の方を選んだ方がいいと思いませんか?
抽選に応募して運よく当選したとしても、土地に合わせて家を小さく作り替える工事費とか別途工事費がかかって、新築よりも高くついたなんて、まるでリフォーム費用が新築費用よりも高くついたという話と同じですよね。
抽選で外れた人には甘い誘惑が・・・
ハウスメーカーとしては、処分する家が売れたら儲けにもなるし、何よりこのキャンペーンを目玉にすれば、応募してくるお客さんは家づくりを前向きに検討している見込み客ですから、いわゆる一石二鳥といったところではないでしょうか。
この上でも書きましたが、その1棟の売却展示場を手に入れることができるのは、たくさんの応募者の中からたった1人だけです。
ハウスメーカーは、抽選に外れた多くのお客さんに、「残念でした。また次のチャンスをお楽しみに!」などということは言わず、ガッチリ営業をかけてきます。

この度はご応募いただき誠にありがとうございました。抽選結果はお客様のご要望に沿うことができませんでしたが、特別価格でご提供できる二等賞にご当選となりました。おめでとうございます。今回限りの特別価格になるかもしれませんので、ぜひご検討ください。
これは、私がキャンペーンに応募して当選できなかったときに受けた勧誘です。
「特別価格でご提供できる二等賞にご当選」なんて言われると、セールス手段と分かっていても、なんとなく気持ちは動くもんですよね。
結局のところ、応募して抽選に外れた人は全員が二等賞なんですよね。
問題は特別価格の適用期間には制限があって、それが意外に短いことなんです。
つまり、このハウスメーカーはお客さんの気持ちを高めておいて、他の住宅会社に気が向く前に契約することが狙いだと思いますね。
理想の家づくりは、時間をかけて納得いくまで吟味することが大切だと思います。
それを特別価格という甘い誘惑にのせられて、急いで家づくりを進めてしまうと失敗しかねないということです。

では次に、期末決算特別価格キャンペーンについて考えてみることにしましょう!
期末決算特別価格キャンペーンについて
家電量販店などのチラシなどで「半期に一度の決算特別セール」というのを見たことがある方も多いと思います。
多くの企業では、1年のうちに2回の決算を行い利益を上げるために割引セールなどを行います。
住宅業界も同様に、決算があるためハウスメーカーによっては「期末決算特別価格キャンペーン」を行います。
そのようなキャンペーンを利用すると確かに通常よりもお得な価格で家を購入できるかもしれません。
しかし、キャンペーンを逃してはまずいと考えて、まだ住宅会社も決めきれていなかったり、間取りや資金計画もしっかりと出来上がっていないのに契約をしてしまうと後で後悔することになりかねません。
住宅会社は、「このチャンスを逃すともう二度とこれほどお得な特別価格では購入ができないかもしれませんよ。」というようなことを言って契約を迫ってくるかもしれません。
しかし、私の経験上、ほとんどのハウスメーカーは、次の半年後に同じようなキャンペーンを打ち出します。
また、ハウスメーカーは月末ごとに売上を集計しているため、月末の売上目標が達成できない見通しになると、月末決算キャンペーンを実施する会社もあります。
そのようなときも、営業セールスで特別価格キャンペーンを餌に契約を迫ってくることがあるので注意が必要です。
キャンペーンをどうしても利用したいと思う方は、「今急がなくても、また次の機会は必ず訪れる。」と考えて、焦って家づくりを進めないことをおすすめします。

では3つめの、お客様限定特別キャンペーン価格適用について考えてみましょう!
お客様限定特別キャンペーン価格適用について
住宅会社の選択段階で、まだどこに依頼をするか決めかねているときに、よく受けるキャンペーンですね。
例えば、こんなパターン・・・

当社の家は気に入っていただけましたか? 自信を持って良い家をご提供できますよ。

そうですね~ 御社も含めて3社程度までは絞れているんですが、まだ決めかねているんですよ。

そうですか、では少々お待ちください。本社に相談してみます。
・・・営業担当者はいったん席をはずして、数分後に戻ってくると。

大変おい待たせしました。本社が、〇〇さんのために特別価格のキャンペーンを適用してくれました。私が羨ましく思うほどの良い条件ですよ。
これ、私が実際に経験したことです。
たぶん、私に限らず家を建てた方は同じような体験をした人も多いと思います。
さて、この話には続きがあります。

この特別キャンペーンを適用させていただくためには、今月末までにご契約をいただくことが条件になります。
短い期限の設定で、契約を迫るということですね。
私は、このような話にのることはありませんでしたが、私の知人にはこの条件に魅力を感じて、あるハウスメーカーのツーバイフォー住宅を建てた人がいます。
その知人からは、「嫁さんが家を気に入らなくて、ちょっと早まったよ」ということを度々聞かされます。
住宅会社の言う、「お客様だけの特別価格キャンペーンの適用」には、くれぐれも注意しましょう。
「ハウスメーカーのキャンペーにつられて後悔」のまとめ

さてここまで、住宅会社が打つ代表的な3つのキャンペーンについて、その内容と注意点、そして失敗しないための方法を解説してきました。
キャンペーン自体は、注文住宅家づくりの計画者にとって、上手く利用すれば通常よりも安く家を手に入れることができるメリットがあるので有り難い企画です。
例えば、展示場売却キャンペーンの場合は、建築条件に合う広い土地を所有してモデルハウス並の大きな家を希望している人にとっては、当選すればラッキーかもしれません。
しかし、土地に合わせた家に作り替えたりしなけばならない場合は、新築以上の費用負担になりかねないということでした。
また、特別価格キャンペーンは契約期限を迫られることもあり、本当に理想の家なのかを熟考できないまま契約してしまう場合もあります。
価格だけにとらわられて十分な検討もせずに急いで契約をしてしまうと、後になって失敗したと後悔しかねないということをしっかりと覚えておきたいですね。
注文住宅で理想の家づくりに成功するためには、納得できる間取りや資金計画を考え、より多くの住宅会社を比較検討して最適な会社を選ぶことが重要です。
そのためには、目の前にあるキャンペーンという価格だけにとらわれることなく、焦らずじっくりと時間をかけて家づくりを進めることが大切です。