以前は注文住宅で家を建てる際の総費用に対して頭金は最低でも2割必要と言われていましたが、最近は少し事情が変わってきました。
ここではローンの返済計画にも影響する頭金がいくら必要なのか、用意しておきたい金額について調べてみました。
頭金ゼロは失敗の元?
頭金ゼロでも家が建てられるという広告を見かけることも増え、住宅購入のハードルはかなり下がったと言えます。
これは金融機関が住宅ローンにも力を入れ始めたことで、借り入れの限度額が上がったことが理由でしょう。
以前の住宅ローン申し込みは、購入価格の8割が上限と定められていた住宅金融支援機構が一般的でした。
そのため頭金は最低でも2割必要というのが常識にもなっており、購入を諦める人も少なくありませんでした。
最近は年収などを元に融資額を決めることが多く、ローンだけで建設費用をカバーできるケースもあります。
しかし予算としてローンが充当できたとしても、支払いのタイミングによっては自己資金が必要になります。
頭金ゼロでも大丈夫と聞くと自己資金不要と勘違いする人もいますが、全く資金がない状態では注文住宅で家を建てるのも難しいでしょう。
また返済額が大きくなるため、家を建てた後の家計が苦しくなる可能性もあります。
頭金を準備しないまま家を建てた時に、どんなデメリットがあるのかよく考えておくことも大事です。
頭金を貯めるならいくら必要?
頭金が多ければ多いほどローンの借入額が少なくて済むので、返済はラクになります。
ただ注文住宅で家を建てるために必要な金額の大きさを考えると、できるだけ少なく設定しておいた方が貯蓄はしやすいでしょう。
いくら頭金が必要か考える際には、まず家の建築費にいくらかかるかを考える必要があります。
家本体の建設費だけでなく付帯工事や税金など、その他の費用も含めて総費用を計算してみましょう。
土地ありで家を建てる場合、40坪程度で建設費用は3000万円ほどと言われています。
土地がない場合は、さらに700万円~1000万円ほど必要になると言われているため約4000万円が総費用となります。
頭金を払っても貯金がなくならない金額を目標にするのであれば、建設費用の2割以上は必要でしょう。
平均的な建築費用を元に考えると、600万円~800万円ということになります。
もちろん、これより少なくても注文住宅で家を建てることは可能ですが、一つの目安にしておくと良いかもしれません。
注文住宅で家を建てる時の頭金の平均額
実際に家を建てた人のアンケートによると頭金として準備した金額は、100万円未満~1500万円以上までかなり差があります。
これは貯金していた期間によっても変わり、5年以上貯金した人の半数が1500万円の頭金を準備したという結果になっています。
逆に2年未満で家を建てた人は頭金が100万円未満となっており、建築費用の1割にも満たない額で予算を組んだようです。
建てる家の価格をできるだけ抑えれば、頭金が少なくても返済額を減らすことは可能です。
しかし建設費を抑えるにも限度があるため、頭金の少なさは月々の返済額の増加という不安にもつながります。
とはいえ金利が安い時期に思い切ってローンを組み、家を建ててしまうのも一つの方法です。
住宅ローン減税の利用や新築住宅建設の補助金など、色々な制度を上手に利用する方法もあるでしょう。
ただし、頭金が少なかったことで返済額が増えてしまったことを後悔している人もいます。
時間をかけて頭金を貯めてから建てるのか、タイミングが合えば頭金不足でも建てるのか、考え方は人それぞれです。
どちらが良いか迷った時には、将来の生活設計、返済計画に無理がないかなど改めて考え直してみましょう。
頭金を計画的に準備するメリット
頭金が100万円の場合と1000万円の場合では、家にかけられる予算も大きく違ってきます。
設計プランで希望を叶えたいと思った時にも、頭金を多く準備していれば選択肢を増やすことができるでしょう。
将来的に金利が上がった時も、ローンの返済額を抑えておけば家計への影響が最小限になります。
年齢や生活環境の変化、税制や金利など家を建てるのに適したタイミングで頭金が貯まっているとは限りません。
貯まるまで待つよりも建設費用として借り入れて返済していく方が、トータルで考えると得になることもあります。
しかし、どこで判断するかはそれぞれの家庭によって変わりますし、頭金を準備するメリットが大きいのも事実です。
広告や住宅メーカーのCMで見かける頭金不要という謳い文句を過信しすぎず、計画的に貯金する方が安心できます。
そのうえで、いつ建てるかや頭金をいくら準備するかといったプランニングを考えましょう。
頭金の目安は注文住宅で家を建てる費用の2割ほどですが、それ以下しか用意できなくても家を建てることはできます。
無理なくローン返済できる金額、残しておくべき貯金額などと合わせて頭金をいくら準備するか決めましょう。